上海新康製薬の抗癌新薬「雲芝PSP」(ポリサッカロペプチド)カプセルは、上海師範大学が開発した特許商品です。開発者で、菌草研究の専門家として知られる上海師範大学教授の楊慶尭先生、並びに同大学の開発スタッフが8年あまりの歳月をかけて完成させました。癌で苦しむ方々の希望の光と期待されています。

雲芝(カワラダケ) PSPは、中国雲芝菌糸体から抽出した抗癌免疫調節剤です。毒性はありません。その化学成分は主にポリサッカロペプチドからなっています。中国歴代の薬学書でも、雲芝に関する記述が見られます。【本草綱目】(28巻)及び【采芝圖】(紀元889〜896年)では、黒雲芝と青雲芝の記載があり、「扶正固本」「補益精気」の特効薬材として紹介されています。古来、雲芝は身体を根本的に強健にし、身体をめぐる「気」を活発にさせる作用があるものと認識されてきました。 漢方の伝統的医学理論では、「正氣存内、邪不可干」、「正勝則邪退」、または「扶正以去邪」などといいます。身体の構成要素である気をはじめ、血や津液(水)がバランスよく身体をめぐっており、機能が全て正常であれば、病気の付け入るスキを与えないということです。

「雲芝PSP」は、この伝統的な漢方医学理論をベースに、現代科学技術を応用し雲芝から抗癌作用のある有効成分ポリサッカロペプチドだけを抽出したものです。「扶正去邪」の原理を発展させ、腫瘍の予防と治療の両方に大きな期待がされています。 人体の免疫力を強化することで腫瘍を予防し治療していく…  このアプローチは、漢方医学の大きな特徴です。最近の抗癌剤もほとんどこの延長線上で研究が進められています。

1970年来、海外の学者はすでに中国の民間薬材の雲芝から多種の抗癌成分の抽出を試みてきました。例えば、PSK(日本薬学大辞典1982年p.865)結合タンパク多糖(米国特許4271151 1981)、D−II、Coriolan及びATSO(Advances Applied Microbiology Vol.34 1989 P.238)などです。日本でのPSKの研究成果は国際的に学会の大きな注目を集めることになりました。第14回国際化学療法会議(The 14th International Congress of Chemotherapy)において、各国はPSKの論文を競って発表し、そのレポート数は68に達し、腫瘍関係論文全体の2割近くを占めることになりました。

PSPの生産菌は中国雲芝Cov-1菌株で、その深層培養菌糸体を原料としています。有効成分をアルコール水で浸出させる伝統的な抽出方法が用いられています。PSPは液体クロマトグラフィー、紫外線、赤外線分析、また核磁共振(MRI)分析試験などによりPSKと類似した化学成分をもっていることが判明しています。それは一種の連結した小分子タンパク質の特殊多糖体で、分子量は約10万、その多糖の主要成分はブドウ糖です。主な分子チェーンはα1→4、β1→3といったグリコシダーゼの結合からなっています。その他に少量の半乳糖(ガラクトース)、甘露糖(マンニトール)、阿拉伯糖(アラビノース)、木糖(キシロース)を含んでいます。

PSPの薬効は各種の研究により証明されています。そして、「扶正固本」、身体の虚弱な部分を根本的に強健にし丈夫にしてゆく顕著な効果が認められています。

1. RSPは、身体の免疫機能を増強します。

a. PSPは白血球が生産するα型インターフェロンとβ型インターフェロンを2〜8倍に増強します。
b. PSPは人間のもつ免疫担当細胞群(マクロファージ、NK細胞、T細胞、B細胞、補体など)を刺激して免疫機能を活性化していきます。マウス実験では、HC50、IgG(免疫グロブリン)及びPFC値が顕著に上昇しました。
c. PSPは胸腺と脾臓のTリンパ細胞及び前Tリンパ細胞の増殖を促進します。

2. PSPは動物の負瘤が引き起こす免疫抑制に対抗します。

a. 荷瘤(Sarcoma)マウスの胸腺萎縮を阻止します。
b. Ehrlich腹水ガンが引き起こす肝臓腫大を抑制します。
c. マウスの荷瘤が引き起こす抗体抑制を消除します。
d. 荷瘤マウスの血清C3の補体値を向上させます。

3. PSPは動物とヒトの癌細胞の成長を抑制します。

a. PSP(50mδ/Kg,ip或po)はマウスの体内で成長するSarcoma−180を抑制し、抑制率は46〜68%です。PSKと比較しますと、PSPのS−180に対する抑制率はPSKを上回っています。
b. 放射性前体試験において、PSP(1000r/ml)はEhrlich癌細胞の核酸合成を抑制し、そのRNAとDNAの抑制率は51%と45%になりました。
c. PSPとPSKはともにP388白血病細胞、ヒト胃癌、ヒト肺腺癌、ヒト単核細胞白血病、ヒト皮膚組織細胞リンパ瘤の成長を抑制します。PSP(500r/ml)P388細胞の抑制率は90%となり、PSKは61%となりました。PSPはヒト肺癌細胞により発生した腫張、染色質の凝集等細胞毒現象にも使用が可能です。
d. PSPの抑瘤作用はTリンパ細胞の強化と関係があり、PSPのSarcomaに対する抑瘤作用は、抗リンパ細胞血清(ALS)を投与することにより消除が可能となります。

4. PSPは化学療法の薬物が引き起こす免疫抑制を軽減します。

a. シクロフォスファミドが引き起こす白血球の低下を顕著に軽減します。
b. シクロフォスファミドのインターロイキン2(IL−2)抑制作用を除去します。
c. シクロフォスファミドにより抑制されていた遅延型過敏症 (DTH) 反応を回復します。

5. その他

a. PSPはマウスに与える熱板、酢酸、電気刺激による痛覚反応を顕著に軽減します。
b. PSPはマウスの食量を顕著に向上します。
c. PSPは中枢神経系統を抑制し、マウスの自発活動能力を減少します。
d. 酸素が欠乏する条件下でマウスの生存時間を比較したところ、PSP投与のマウスは非常に顕著な耐酸欠能力を示しました。



一般薬理と毒理研究による証明
  1. PSPを投与したイヌの心血管および呼吸系統に何の影響も見られませんでした。
  2. PSPの口投量はLD56>18g/Kgとしました。
  3. 大型マウス、サルに対する慢性毒性試験で、連続6か月PSPの臨床剤量の50〜100倍を口投したところ、それぞれのケースにおいてマウスとサルの成長発育状況、血液、血液生成状況、心電図試験のいずれにも異常は見られませんでした。組織病理学検査においても何ら異常は見られませんでした。
  4. PSPのAmes試験は陰性です。口投最大剤量のPSPをマウスに投与したところ、骨髄細胞中間分裂相染色体及び骨髄多染性赤血球1000個に対して小核を誘発せず、染色体異常誘発性は認められませんでした。PSPは哺乳期動物に対して遺伝子を損傷する作用がないことが確認されました。
  5. 臨床剤量を1〜100倍にしたPSPをマウスに口投したところ、精子に奇形は見られませんでした。
  6. 臨床剤量を1〜100倍にしたPSPで次世代奇形試験を行い、母体、胚胎、出生前と出生後のそれぞれにおいて観察したところ、いずれにも奇形作用は見られませんでした。
PSPと一般の結合タンパク多糖とは同じもので、その化学特性は相当に安定したものになっています。高温(100゜C水浴48時間)、高温高湿(37゜C99%相当湿度90日)及び紫外線(照射30時間)処理後、PSPのポリサッカロペプチドの含有量に顕著な変化は見られませんでした。雲芝ポリサッカロペプチドをカプセルに貯蔵する前、貯蔵中、貯蔵後のサンプルおいて性状比較を行いました。鑑別、検査、含量、測定及び衛生学実験などの項目において全て顕著な変化は見られませんでした。透析法及びSephadex凝膠層析法測定により、雲芝ポリサッカロペプチドにもカプセルにも、カプセルに装着する以前と以後とで分子構造に大きな変化は見られませんでした。

1992年2〜7月、上海の8大病院で無作為に485例を抽出し雲芝ポリサッカロペプチドカプセルのダブルブラインドテストが実施され、2期臨床研究との対照を行いました。その結果、雲芝ポリサッカロペプチドカプセルには「補益精気」、「健脾養心」、「扶正固本」など漢方的効果の他、人体の免疫機能を高め、生存質量を向上する作用が認められました。精神的な疲弊、食欲不振、不安不眠、吐き気、痛み、イライラ精神不安定、異常な発汗、口やノドの乾きといった癌による諸症状に顕著な改善が見られました。放射線療法、化学療法が引き起こす白血球、血小板、ヘモグロビンの減少、また免疫機能(ナチュラルTキラー細胞、インターロイキン2、ヘルパーT細胞)の低下に対して人体の保護と改善作用が確認されました。総療効率は82.6%に達しました。



PSPは1987年2月、上海市高教局主催の科学技術成果鑑定会に出品しました。1990年、国家発明特許(中国特許番号89105471.5)を取得しました。1987年、第3回発明展覧会で銀賞を獲得しました。1992年、中国新技術新産品博覧会で金賞を受賞しました。

もっかPSPの研究は海外でも進められています。1989年香港中文大学はPSPを中心としたアジア太平洋地区「腫瘤研究進展」学術討論会を開催しました。1989年、アメリカ国家癌症研究センターが発表した「真菌中の抗腫瘍と抗病毒物質」と題する文献において、PSPが中国唯一の真菌抗腫瘍物質として記載されました(Applied Microbiology Vol.34 183-264)。また1990年カナダ大学 Terry Willard 教授は「Reishi Mushroom」という本の中でPSPとPSKの作用について論評しており、PSPの抗腫瘍薬理効果はPSKより4倍強いと認められるとしています(P.134)。

現在PSPの研究はさらに進み、分子構造の化学修飾が明かにされ、PSP−II、PSP−IIIの開発が進められています。ガンやエイズの治療において、PSPはこれからますます注目されることでしょう。



雲芝ポリサッカロペプチドカプセルは、上海師範大学の特許商品です。上海新康製薬は、上海師範大学をバックに、同商品の製造販売を目的に設立されたGMPスタンダードに準拠した製薬会社です。また、上海市漕河ケイ新興技術開発区「高創科技発展総公司」のグループのメンバーです。現在のところ、「雲芝PSP」は上海新康製薬だけで生産されており、1992年、上海市の火炬計画(トーチプロジェクト)に組み込まれました。さらに1993年には国家級火炬計画に指定されました。上海市科委は『1992〜1993年上海市科技工作指南』において、当製品は「生物技術と新型薬物発展の大きな成果」のひとつとして評価されました。上海新康製薬は、上海市科委の認定を受け1993年には「上海市高新技術企業」となりました。



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